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  • Author:藤原 本比呂
  • 2月5日の昭和生まれ
    AB型だが、ニ面性ではない。
    P−5と言う演劇集団に所属。

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現状

仕事帰り。

いつも通りの時間に
最寄駅に着いた。

雨・・・・。

駅前にあるコンビニの光が
濡れた地面を照らしていた。

薄くできた水溜りに
雨粒が不規則に主張している。

傘。

ない。

買うか?

それほどの雨でもない。

濡れて帰ることを決め
前屈みになりながら雨にあたる。

体に伝わる振動。
雨粒が当たっている。

濡れると決めていても
決していい気分ではない。

頭によぎる。

走ろうかな??

どうせ濡れるなら
走って帰った方が・・・・。

駅から家まで
歩いて15分。

家まで走れるだろうか?

どうしようか迷っていながら
足は走り出した。

どうせなら
少しでも暖かく帰ろう。

なんて考えながら
足は走っていた。

ジョグ。

割と早めのジョグ。

傘をさして駅に向かう人を
横目に見ながら走る。

何をしているんだろう??

そんな考えが
すぐに頭をよぎる。

何で走った?

走って数秒。
もう疲れた気がする。

突飛な行動をする感じではないが
明らかにこの行動はおかしい。

でも走っている。

先月まで怪我していた足は
はたして大丈夫か?

準備運動もなしに
このスピードで大丈夫か?

不安だらけ。

息も、はぁはぁ
言い出してますけど。

帰り道。
歩いていると気付かない。

家に向かうまで
少し傾斜になっていた。

上り坂。

歩いていたら問題ない。
なのに・・・・。

走っている私には
結構きつい。

結構?

否、かなりだ。

横っ腹が
痛くなってきた。

久々の感覚。

しかし。
早すぎる。

昔の私は
こんな感じではなかったのに。

太腿も
何か疲労が溜まっていってる。

太腿だけではない。
体全体に疲労が・・・・。

ひょっとすると悲鳴かしら??

足、腰、背中。
筋肉が張ってきた。

体力がなくなってきた?

仕事帰りにはきつかったか?

年齢のせいかな?

はたまた運動不足?

雨に打たれながら
そんな事を考えていた。

家まで・・まだまだ。

一体どれくらい走った?
私は何分走っている?

3分は走ったか?
時計を見てから走ればよかった・・・・。

くそぉ。
もう・・疲れた・・・・。

走るのをやめたい気持ち半分、
負けたくない気持ち半分。

どうしたらいいのか
わからなくなってきた。

そして走るであろう
道の先を見る。

また・・坂。

とてもとても緩やかな
歩いていたら気付かない・・坂。

それを見たとたん
私は走るのをやめた。

走りから
歩きにシフトチェンジ。

荒れる呼吸。

打ち続ける心臓。

波打つ血管。

重くのしかかる体。

家まで残り3分の1ほど。

走り切る事無く
私は歩いた・・・・。

横っ腹を押えながら
雨に打たれながら歩く。

情けなくなった。

走り切れないから?

違う。

体力の低下?

違う。

走りながら
薄々気づいていた。

言い訳だらけ。

探している。
今の現状の言い訳を。

私の限界まで走ったか?

間違いなく私は諦めた。

限界を見ることなく
勝手に今を限界と判断した。

くそったれ。

歯がゆい。

走りながら
こんなに言い訳を探すかと。

昔の私?
関係ない。

体力も仕事も年齢も運動不足も
怪我も準備運動も関係ない。

坂も雨も関係ない。

限界も関係ない。

私は走れなかった。
私は走り切れなかった。

今の現状を
受け入れようとしなかった。

言い訳ばかりの私。
馬鹿馬鹿しい。

それと同時に
なんだか人間っぽいとも思えた。

今、思えば
走る前から言い訳は始まっていた。

『家まで走れるだろうか?』

家まで走る!とは
考えてはいなかった。

これが私の現状。

元の体力に戻すとか
一からやり直すなんて考えはない。

この状態から
さらに高みを目指そう。

這い上がるのではなく
上っていくのみ。

そんな事を考えていたら
なんだか面白くなってきた。

笑いがこみあげてきた。

朝っぱらから
変なテンション。

今度はどうなってもいいから
家まで走り切ろう。

そして私は
家に辿りついた。

笑いながら・・・・。

とりあえず濡れていたので
服を脱いだ。

冷えた体を
シャワーで温めよう。

ズボンを脱いだら・・・・。

膝もわらっていた。

かなり・・・・。
大爆笑をしていた。


わーい♪

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